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2024/06/13

線状降水帯予測の最前線!新たな海洋気象観測船「凌風丸」の内部は?

線状降水帯の予測で重要な役割を担う気象庁の海洋気象観測船の内部が公開されました。観測の最前線を櫻田気象予報士が潜入取材してきました。

櫻田雅信気象予報士:
「こちらがおよそ30年ぶりに新しくなった4代目凌風丸ですね、気象観測船です。今日は内部が公開されるということでさっそく見に行きたいと思います」

3月に竣工した全長訳86メートルの「凌風丸」。気象庁は現在、「凌風丸」と「啓風丸」の2隻の海洋気象観測船を運用していて、それぞれ海上で年間約220日観測を行っています。「凌風丸」は今回、燃料の補給などを目的に長崎港に停泊しています。

気象庁環境・海洋気象課椿修二技術専門官:
「これが観測員がいつも使用している部屋のスタンダードな形になります」

櫻田雅信気象予報士:
「結構思ったより広いですね。プレイべート空間もしっかりあるなって印象です。私、暮らせると思います、ここで」

観測のカギを握る装置は甲板の上にありました。

気象庁環境・海洋気象課椿修二技術専門官:
「あれがGNSSアンテナになります。本船上の水蒸気を測る機械になります。線状降水帯観測の目玉」

船の最も高い場所に設置された円盤のようなアンテナは、線状降水帯観測の重要な役割を担っています。積乱雲が次々と発生し、近年全国各地で災害レベルの大雨を引き起こしている線状降水帯。県内でも去年9月、2日連続で発生し、土砂崩れや床下浸水などの被害をもたらしました。線状降水帯の元となっているのが、海上の水蒸気です。このGNSSアンテナは発生源となる水蒸気の量を詳しく観測することができます。その方法とは、まず衛星からアンテナに向かって電波を送ります。電波は大気中の水蒸気の量が多くなればなるほど届くのが遅れます。その遅れ具合で水蒸気の量を予測することができます。

櫻田雅信気象予報士:
「データはリアルタイムで入ってくる?」

気象庁環境・海洋気象課椿修二技術専門官:
「そうです。データ自体はリアルタイムで入ってきていまして、10分ごとに計算をして気象庁の方に送るシステムを作っています」

観測の方法はこれだけではありません。甲板に積まれたこちらのコンテナ。コンテナから上空へ飛ばすのは観測機器を付けたバルーンです。1日に2回飛ばして上空の気温や湿度、風速、風向などを観測。水蒸気の量や向かう先を予測するのに役立てます。アンテナとバルーン。この2つを使った海の上での観測で線状降水帯の予測精度を上げています。「凌風丸」は出水期の6月から10月、九州の西の沖を中心に観測。九州の西の沖で発生した水蒸気が九州の陸上に流れ込み、ほかの地域より線状降水帯が発生しやすいためです。気象庁本庁からの指示で観測場所まで航行し、晴れている日も平常時のデータとして観測しています。

予測・分析するのは、線状降水帯だけではありません。この装置は深さ6000mまでの海水を採取することができます。海水の温度や二酸化炭素の濃度を測り、地球温暖化に関するデータも収集しています。

観測員や航海士など乗組員の定員は48人。1日の勤務は4時間ごとの3交代制で24時間態勢で観測に当たります。航海は短くても1週間、長い時は2カ月ほどに及びます。新しい船になって大きな変化もありました。

櫻田雅信気象予報士:
「女性用区画が初めて設けられたということで、今回は特別に見学させていただけるそうなので、さっそく中に入ってみたいと思います」

女性専用区画にはトイレやシャワールームのほかにも、これまでは男女兼用だった洗濯機や乾燥機も置かれています。働きやすくなった船で予測精度の向上を目指します。

気象庁環境・海洋気象課椿修二技術専門官:
「気象庁では全庁的に線状降水帯の半日前予測など皆様の安全のための情報を発信しているように努力していますので、それらがより精度よく皆様にお伝えできるような観測を行っていく。(観測の)システムについても精度を高めることは可能だと思っていますので、その点を日々精進していきたい」

櫻田雅信気象予報士:
「こういう風に地道に色んなものを毎日毎日観測して予測の情報だったり天気予報だったり関係しているんだなというのが、深くわかりました。見たことがない観測機器がたくさんあったので気象台にも色んな観測機器がありますけどそこにはないものが船にあったので本当に興味深かった。面白かったです」

私たちの命と暮らしを守る「凌風丸」は16日(日)、九州の西の沖へ向けて出港する予定です。

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