香ばしく揚げたアツアツのかまぼこ。揚げ上がったらすぐに工場から運び出し、売店に並べます。
創業37年、西彼・長与町の「長崎井上」。毎日30種類から40種類ほどの日替わりかまぼこ「ごちそうかんぼこ」が並び、開店の午前9時になると続々とお客がやってきます。
客(長崎市から):
「長崎ならでは。お魚と野菜もたっぷり入っているし、栄養もあっていいです」
客(長崎市から):
「おでんの具を買いに来た。おかずにもなるし、すごくおいしいです」
実はこのかまぼこ、毎日1人の職人の手で作られているんです。職人歴26年の山下芳信さん(48)。「ごちそうかんぼこ」は15年前から作っています。
山下芳信さん(48):
「僕は利益を目的に作っているわけじゃないんですよ。ただ、お客さんが喜んでくれる商品を作れたらいいなと思って毎日作っています」
山下さんのかまぼこは口コミでどんどん広がり、早い日は午前中に売り切れるほどの看板商品に。
去年、県が主催する水産製品品評会で最高賞の農林水産大臣賞に輝きました。その商品が、「ごちそうかんぼこ PREMIUMセット(税込み3888円)」です。店頭販売限定だった4種類の「ごちそうかんぼこ」が3個ずつ入っています。審査員からは、4種類それぞれのおいしさに加え、セットになっていることで商品の魅力がさらに高まっていると評価されました。
山下芳信さん(48):
「うれしいですよ。やっぱり。お客様が僕の日替わり商品を贈りたいという声がたくさんあって、それから商品化にしようかと思って作った商品。お客様の声から出来た商品です。長崎からどんどん新しいかまぼこが生まれてきて、全国にも広がっていったらうれしいですね」
山下さんが独創的な商品を次々と生み出す姿は、ほかの従業員にとっても大きな刺激となり、新しい商品を生み出そうとする意欲を引き出しています。
ドーナツにすり身を混ぜ合わせた「お魚ドーナツ」。プレーンやシュガー、きなこ、サツマイモの4種類を用意しています。(税込み110円~)
井上絵里子さん:
「若い方に売店に来てほしいという願いがあって、若い方が好きなものは何かというのを毎日リサーチして、それでお魚、かまぼこで何か表現が出来ないかというのを考えてお魚ドーナツという形になりました」
このほかにも「ごちそうかんぼこ」を具にした「魚むすび」など、SNS映えを狙った商品も販売しています。
井上絵里子さん:
「(Q.山下さんのセンスはどうか)すごいですよね。すごいとしか言いようがない。頭の中がどうなっているのかなって思います。山下さんが毎日こんなふうにいろんなかまぼこを作ってくださって、それがお客さんが手に取ってくださってというのを見て、そこから『まだまだかまぼこっていろんな可能性があるんだな』というのも私もそれで知って、いろんなことに挑戦してみたいなという気持ちが湧いてきました。かまぼこは長崎の食文化として残していきたいものなので、若い方にもっと身近に感じてもらえるようにまずは自分が食べたいと思うものを作っていくことを意識して、これから『かまぼこの可能性はまだいっぱいあるんだよ』というのを自分たちでも確認して、挑戦していきながら、それがどんどん伝わっていって、長く続いていったらいいなと思います」
長崎のソウルフード「かまぼこ」。その魅力をもっと多くの人に知ってもらいたいと山下さん自ら食材を仕入れ、毎朝6時から一つひとつ手作業でかまぼこを作り続けています。
山下芳信さん(48):
「これはメンマを使ったかまぼこですちょっとピリ辛でおいしいです。機械じゃ出来ないんですよ。手で作らないと出来ない商品ばかりです。練り物もその時代と合わせて変わっていかないといけないと思うんですよ。“練り物離れ”というか、あまり魅力を感じなくなってきているんじやないかなって思うんですよ。そしたらどうしたらいいかなと思って。新しい商品を色々開発してるんですね。食べる世代も変わってきたし、物価高もありますし。新しい商品をどんどんどんどん作っていかないと需要が生まれてこないじゃないかなと思いますね」
子どもから大人まで、みんな大満足の「ごちそうかんぼこ」。斬新なアイデアでかまぼこの魅力を引き出し続ける山下さんにとっての「グッジョブ!」とは―
山下芳信さん(48):
「“脇役”から“主役”にするにはどうしたらいいか、どうやったら喜んでもらえるか、どうやったら買ってもらえるかってまずは考えることです。最初は多分利益にはならないと思うんですよ。それでもやっぱりお客さんがね喜んでもらえたら、そこからが始まりだと思うんですよ」