競合他社が運航する船の検査修繕費を新上五島町が違法に補助したことで損害を負ったなどとして、九州商船が町に対し損害賠償を求めた訴訟で、長崎地裁は九州商船側の請求を棄却しました。
新上五島町は2023年、長崎と新上五島町を結ぶ高速船「びっぐあーす」の指定管理者である「五島産業汽船」に、船の検査修繕費として約6千万円を補助しました。この航路で競合する九州商船は「不公平な民業圧迫」で、「公益上の必要性がない」などとして、町に約8255万円の損害賠償を求めていました。
判決で長崎地裁の松永晋介裁判長は、町の補助は、町民にとって重要な航路を機能させるために必要と判断。原告側が主張する事業圧迫は「根拠はない」「行政権の濫用に該当しない」などとして、訴えを退けました。
九州商船の代理人弁護士:
「九州商船の社長として、今回の判決は予想外のもので到底納得できないので、控訴する方針です」
また、これとは別に、九州商船の関連会社と町民7人が五島産業汽船への6千万円の補助は違法として、石田信明町長に返還を求めた住民訴訟の判決も言い渡され、長崎地裁は原告側の請求を棄却しました。新上五島町は「町の主張が認められた」とコメントしています。