アメリカ・ニューヨークの国連本部で開かれている核兵器禁止条約の第2回締約国会議で長崎市の鈴木市長が演説し「長崎を最後の戦争被爆地に」と呼び掛けました。
副会長を務める平和首長会議の代表スピーチで鈴木市長は、ウクライナ危機や中東の軍事衝突が深刻化するなか、核兵器の使用が具体的かつ現実的な選択肢の一つと示唆されている事態に憂慮を示しました。その上で「今こそ78年前に原子雲の下で人間に何が起こったのかという原点に立ち返り、核戦争が始まったら地球に、人類にどんなことが起きるのかという根源的な問いに世界全体が向き合うべき」と呼び掛けました。
鈴木史朗長崎市長(56):
「核兵器が人間にもたらす結末を知ることが、核兵器のない世界への出発点であり、世界を変えていく原動力にもなり得ると信じています。『世界中の誰にも二度と同じ体験をさせてはならない』という被爆者の思いを受け継ぎ、長崎を最後の戦争被爆地とするために世界に伝え続けていくことを誓います」
また、「核兵器禁止条約の発効に至るプロセスに象徴されるようなボトムアップ型のアプローチにより核兵器廃絶に向けた強固な包囲網を築き、世界を変える力を再び生み出すことを願う」と呼び掛けました。
鈴木市長:
「被爆者の皆さんが、長崎を最後の被爆地にするために、そして自分たちと同じ体験を決してさせてはならないという思い、そういう被爆者の思いを世界中に伝えていかなくてはいけないということを改めてきょう発信させていただき、またその決意を示させていただいた」
会議に核保有国やアメリカの核の傘に依存する日本政府は参加していませんが、「核の傘」に依存するオーストラリア、ドイツ、ノルウェーはオブザーバー参加しています。鈴木市長は「3国それぞれのオブザーバー参加の仕方を参考に、日本なりのオブザーバー参加のやり方を日本政府には模索してほしい」と述べました。