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NCCアナウンサー  溝田 浩司ブログ:2008年3月

長崎の春

"毎年1月か2月には雪が積もるのに、今年はどうしたことだろうか。
いくら暖かい長崎とはいえ、雪を見ない年はこれまでなかったよう に思う。積もるといっても数センチで、雪合戦ができるのも午前中 まで。真っ白に染められた小学校のグラウンドも、お昼を過ぎると たちまち汚れてしまうのが常なのだが、今年はそんな光景さえまだ 見られない。

「そのコート、こっちで買ったの?」
「えっ、持ってきたんだよ」
「九州でもコートいるんだ...」
「もちろん。雪だって毎年積もるんだよ」
「へぇ、九州は一年中半そでだと思ってた」

昔、東京で出会った北国出身の若者とこんな会話を交わしたのを思 い出す。もう20年以上も前の話だ。インターネットがある現在、 さすがにそんな人はもういないと思うが、その当時北国の人たちは、 ある種の憧れをもって九州という土地を見ていたのかもしれない。
しかし、一年中半そでとまではいかないまでも、このまま季節が戻 らなければ、少なくとも「毎年雪が積もる」という話は過去のもの になってしまう。

季節の異変は我が家の庭でも現れている。毎年正月過ぎには花を咲 かせていた椿が、今年はどうしたわけか2月も半ばになってようや く薄桃色の花を咲かせた。昨季、植え替えをしたうえにお礼肥が遅 れたためかもしれないが、雪を見ないままでは咲くに咲けなかった 事情が、椿にはあったのだと思っている。

上着を着ていればコートなしでも歩ける陽気が続いている。三寒四 温とはいえ、もう大雪は降りそうにもない。路面電車の停留所では、 観光に来た恋人たちが厚手の上着をもてあましていた。地図をはさ んで楽しそうに笑う二人の間を、突然一陣の風が吹きぬけた。向か いのホームを歩いていた小さな女の子の手から、何かの紙片が吹き 飛ばされた。女の子はしばらくその紙片を目で追っていたが、やが て事態に気付いて泣き出してしまった。紙片は電車を待つ人々の足 元を滑り続け、やがてホームの最後までくると線路に落ちた。母親 らしき女性がそれを拾おうと駆け寄ったが、電車が近づいて来たた め、それはあきらめざるを得なかった。黄緑色の車体がホームに滑 り込むと、その親子は見えなくなってしまった。"

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溝田 浩司

1990年4月入社
福岡県出身
福岡大学卒
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