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NCCアナウンサー  溝田 浩司ブログ:2006年1月

ベランダの風景 東京編

"晴れていれば、休みの日は朝から洗濯と決まっている。布団を敷いただけの簡易ベッドから起き上がり、いつものように窓を開けると外は雪景色だった。黙々と降りしきる雪は、ビルの隙間の細長い地面を白く塗り替えていた。ベランダの植物が雪で痛んでは困ると思い、鉢に大きな紙袋をかぶせた。
冬は嫌いではない。「雪が好きだ」と言えば豪雪に苦しむ人達から叱られるかもしれないが、雪の日はつい寄り道をしたくなるような、そんな気持ちにさせられる。
コインランドリーの帰り道、雪景色の桜並木をいつもよりゆっくりと歩いた。子供のころよくそうしたように、フェンスに積もった雪を手で落としながら歩いていると、向こうから同じことをしながら歩いてきた男の子と目が合ってしまった。ぶくぶくに着込んだ変なおじさんを見るなり、その男の子は雪遊びをやめて、さっさと帰ってしまった。振り返ると、足跡が早くも雪に隠れようとしていた。"

ベランダの風景 東京編

"3日の夜トーキョーへ戻った。まるでコンビニから帰ってきたときのように鍵を回し、いつもの部屋に入った。ベランダの植物は大丈夫だろうか。不思議なもので、年を越しただけで随分と時間が経ったような気がしてしまう。急いで窓を開けると、いつもと何一つ変わらぬ風景が目に入った。少し大げさな自分にため息をつくと、凍てつく冬の夜空に白い息が浮かび上がった。
雪こそ降らないがトーキョーも寒い日が続いてる。朝は植木の土がカチカチに凍っていることもある。そんな日もなぜか銭湯へは足を運んでしまう。自転車で通う身としては、冬場の銭湯はなにより帰りが辛いのだが、アパートの狭い風呂にはどうしても入りたくない日があるものだ。「謹賀新年」の張り紙以外、銭湯はいつもと同じ風景だった。湯船につかっていると、父親の背中を流す2人の子供の姿が目に入った。5歳くらいの女の子は、泡のついた手で父親の背を一生懸命撫ぜている。もう一人は2歳くらいだろうか、そばを離れず姉のしぐさを見つめていた。
子供の頃、父の背中を流したときのことを思い出す。「皮がはがれるくらい強くこすれ」と父は言った。力任せにこすっても、父は「まだまだ」と答えたものだ。後年、妻に先立たれ一人暮らしになった父を長崎に招いた。あるきっかけで市内の銭湯へ行くことになり、十数年ぶりに背中を流した。ひどく痩せて小さくなった父の背を、私はやさしくゆっくりと洗い流した。あのときの銭湯は今もあるのだろうか。夜の帰り道、自転車を押しながらそんなことを考えた。"

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溝田 浩司

1990年4月入社
福岡県出身
福岡大学卒
0型

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